2014年9月20日土曜日

2014年度日米法学会総会

2014年度日米法学会総会プログラム


2014年総会は9月20日(土),21日(日)に
東京大学(本郷キャンパス)で開催いたします。

20日午後:判例研究会
21日:シンポジウム「法とセクシュアリティ:同性婚の次の課題」

日米法学会のイベントには,特段の限定のない限り,会員以外の方も参加いただけます。

http://www.kichi.j.u-tokyo.ac.jp/nichibei.html

同性婚関係の行事は、9月20日(土)の夕方と21日(日)の朝からとなっています。


プログラム詳細:
9月21日(日)10:00

シンポジウム『法とセクシュアリティ――同性婚の次の課題』

2013年6月,合衆国最高裁判所はUnited States v. Windsor, Hollingsworth v. Perryという2つの同性カップルの婚姻に関する判決を下した。前者は連邦婚姻防衛法Defense of Marriage Act (DOMA)第2条を違憲と判断し,後者は婚姻を異性カップルに限定するキャリフォーニア州の州憲法改正「プロポジション8」を違憲と判断した連邦裁判所の判決に関する上訴に関し,州が上訴しないと判断したとき,州民投票の推進団体には上訴人適格がないと判断することで,下級裁判所の違憲判決を是認した。


1996年のRomer v. Evans判決以降,合衆国最高裁判所は,「敵意」,「自由」といった言葉を用いて性的指向を消極的にではあるが,認知してきた。平等保護の法理からすると,性的指向に対する差別についての審査基準のレヴェルが関心の対象となる・だが,これまでの判例を読み解くと,焦点であるはずの「セクシュアリティ」,あるいは性的指向に関わる言葉とイメージが判決の中で次第に希薄化していることにも気がつく。「セクシュアリティ」が不可視化された中で,レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスセクシュアルとトランスジェンダー,インターセックス,アセクシュアルの人々は,主流への同化と異化のバランスをとることになる。What's next?


2003年のLawrence v. Texas判決は,親密な関係の保護の範囲が拡張されたことを示唆し,今回の判決を踏まえると,州の保護がカップルを越えてどこまで及び得るのかも関心の対象となる。伝統的に州の領域とされた家族において,法的に保護される婚姻の射程の変化をもたらすのかも,関心事となり得る。What's next?

現在,いくつかの州で,同性婚を禁止する州憲法,州法についての訴えが連邦の裁判所に係属し,次々と違憲と判断されている。州憲法に「婚姻は1人の男性と1人の女性」という趣旨の憲法修正が提案され,支持された数年前とは異なる風がアメリカ社会において吹いているようにも見える。事態はまだ流動的である。What's next?

同性カップルの法的婚姻への障碍を除いた2つの判決は,尊厳と婚姻だけでなく,セクシュアリティと平等について,法の新しい局面が始まったことを示唆しているのではないだろうか。

http://www.kichi.j.u-tokyo.ac.jp/2014annual.html